1900年初頭の黒人女性が、どれだけ大変な思いをして生きていたのかを描いた作品。
元々は、黒人女性作家のアリス・ウォーカーが1983年に発表した同名小説で、ピューリッツァー賞フィクション部門受賞しています。
しかし、当時のアカデミー賞は10部門11ノミネートなのに、無冠。当時はまだ黒人が主役の作品は毛嫌いされたのでしょうね。
人種差別は白人からだけでなく、同じ黒人同士でも差別はあったし、男性が女性を虐げる事が当たり前にありました。
のっけから目を背けたくなるような話。
セリーは、父親から体を求められて2人子供を産んだ。産んだそばから『この事は忘れろ』と言われ、子供はどこかへ貰われて行った。
ちなみにセリー役は、この作品が映画デビューとなる、ウーピーゴールドバーグ。笑う事も知らず、言葉もままならない所からの変化を見事に演じている。
そんな彼女にはネティという妹がいた。彼女だけが味方で、愛してくれる存在。もちろんセリーもネティを心から大切にしていた。
しかし、またもや男が邪魔をする。
ネティに目をつける男、アルバート(ダニーグローヴァー)が嫁に貰いたいと言いに来る。父親はセリーの次に手を出す為にネティを離さない、その代わりにセリーを嫁に渡す事にしてしまい、姉妹は離れ離れに。
結婚なんて名ばかり。奴隷ですよ。メイドなんて言葉も甘いな。とにかくセリーが不憫でなりません。気に入らなければ殴るし、自由なんて一つもない。
おまけにネティの手紙を隠すなんて、どうしてそんな幼稚な事をすんだよ!
けれどそんな理不尽な事は、この時代の女性には当たり前にあった。
数年経っても手紙を隠されて、ネティがどうしているのかわからない。
そんな時、アルバートは歌手のシャグ(マーガレットエイヴリ)を連れて帰る。嫁が居るにも関わらず、シャグと良い仲になって連れて帰ってくるというデリカシーの無さに、怒り狂いそうな私だが、セリーは穏やか。どんなに嫌味を言われても、具合い悪くなってるシャグを優しく介抱し、次第に2人は絆を深めていく。
また、アルバートには前妻の間にハーポという父親に言いなりの息子がいた。しかしそんなハーポもお年頃になり、ソフィアという嫁を連れてくる。
このソフィアを演じているのは、今やセレブ司会者となったオプラ・ウインフレイ。これまたこの作品が映画デビュー。彼女も凄く存在感を出している。この作品で唯一、男尊女卑などの差別に物申す、無くてはならないキャラクターでした。
このソフィア、父親にうだつが上がらないハーポに三行半を突きつけて、子供を連れて出て行きます。
彼女はその後、市長夫婦に街で楯突いたことにより、何と8年も刑務所に入れられてしまうのです!
ここの場面も本当に辛い。ここは正に白人VS黒人の構図。
シャグはシカゴへ夢を追いかけて出て行きます。
本当ならセリーもついて行きたかった!
また、あの虐げられる毎日に逆戻りです。
街で買い物していたセリー。出所したソフィアと出逢います。しかし、ソフィアは刑務所に入る理由になった市長夫婦にメイドとして雇われていたのです。そこでもそっと優しく接するセリー。
数年ぶりにシャグが成功し、夫を連れて戻ってきます。シャグの夫と飲んで外へ出ていくアルバート。その隙に、長年目にすることがなかったネティからの手紙を見つけます。
手紙で知った奇跡!!
セリーとネティは壮絶な人生だったけど、夕日のラストシーンは涙なくては観られなかったなぁ。
私が興味深かったのは、黒人コミュニティの中での差別や、DV、女性蔑視、また途中にはLGBTQ要素まである所なんです。今ならよくある内容です。でもこれ、1985年の作品ですよ。
先駆け過ぎて、当時ビックリだったんじゃないでしょうかね?
実は当時のこの作品も、既に沢山の音楽に溢れていました。ですから、2月9日からミュージカル映画として甦ると聞いて、なんの違和感もありません。特にゴスペルが響き、全ての愛が一つになるようなシーンは、間違いなく胸熱だと思います!楽しみだなぁ。