嵯峨

キル・ビル Vol.2の嵯峨のネタバレレビュー・内容・結末

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

まあ面白かった。前作とはテイストがかなり異なってて、贖罪やら復讐への葛藤などキャラ造形メインの映画だった。
まあお得意の時系列の操作である程度どうなるかが冒頭で示されてて、生き埋めシーンとかどうやって脱出すんだろうと思って見てたら、次の章に移ってあの修行の場面。この修行が見ててこの映画で一番面白かったなと思う。タランティーノ特有の「映画の原始体験」というか、そういうものがよくわかる。刃に乗る師匠とかカンフーの修行の影演出。箸の使い方というか、あの飯の場面での師弟の絆的なところとかまあ面白い。で、そこから脱出に映るところとか本当に良かった。ここはすごく良いと思った。
あと、悪役に振り切ったエル。この悪役が本当に魅力的というかマジで「悪役」って感じ。なんとなくあの男を殺すような雰囲気がしてるんだけど、どう殺すかっていうキャラの立ち方。で、謎の眼帯の理由とか師匠の殺し方とか本当の意味で一番「悪役」だなあと思った。オーレン石井とは対照的な乱雑なチャンバラとか成敗のされ方とかキル・ビルシリーズで一番キャラが立ってて彼女のシーンとかはめっちゃ楽しい。成敗された後の暴れっぷりとかもね、すごいいいっすね。

ただ、残念なのは肝心のビルがキャラ薄いと思った。元々かなり荒唐無稽なキャラ祭りみたいな映画のシリーズだが、ビルが影薄い。なんというか、「普通のラスボス」。オーレンイシイ、GoGO夕張だのエルにしても、アイツらは「THE・悪役」すぎて逆に今の映画だとキャラが立つという感じだが、ビルがなんかまあ割とよく観るラスボス。落ち着いてて、人の良心を揺さぶる感じ・・・なんというかこの映画のテイストからするとつまらないキャラだなあと思った。まあ「取り乱して・・・」の件とかは笑ったけど。
贖罪って多分テーマなんだろうけど、それの回収もイマイチ。終盤がなんか普通の映画になってたなあと思う。まあ普通にそこそこは楽しめるんだけど、ただ中盤が面白かっただけにちょっと残念だった。
嵯峨

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