ダギリオダギレイ

街のあかりのダギリオダギレイのレビュー・感想・評価

街のあかり(2006年製作の映画)
3.9
監督病んでたの?って心配しちゃうくらい救いようが無い話だった。警備員として働く男が唐突に現れた女に恋する物語。
主人公は不器用であり正直すぎる一方で、いざとなれば悪い奴に立ち向かったり、刑務所に入れられたらちょっとだけ脱獄を考えてみたりと、多少の度胸は据わっている人だけど、喧嘩も仕返しも結局不発に終わってしまうから虚無感が凄い。
負け犬呼ばわりする女のゲアトルーズっぽさがすごいのと、ロックが大音量で流れるなか、男たちがトランプしてる後ろで、彼女が黙々と掃除してるシーンが面白かった。彼女もまた孤独なのである。孤独な人たちこそ惹かれ合わずに反発する。終盤はキャラクターに同じ色の服を着せることで視覚的に打ち解け合わせてみせたのかな。イッヌにも着させてあげて。

あと、宝石を盗むシーンがやけにじっくりと撮られているところや、ナイフをコップで研ぐ(?)シーン、主人公が笑ってるだけの10秒間くらいの映像がいきなり入ってくる、など謎めいた演出が多くて不安になる。そして音楽が多種多様。ただただ哀愁漂う内容だけど、それだけでは終わらず、いろんな発見があるからもう一度観たいってなれる、そんな映画だった。カウリスマキ映画、これからはちゃんと集中して観よ。