すえ

街のあかりのすえのレビュー・感想・評価

街のあかり(2006年製作の映画)
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記録

これで“キートス!!カウリスマキ BluRay BOX1,2”は観終わった。ほぼ毎日夜勤バイトを入れたり、大学のテストがあったりと、少し多忙なこともあり1ヶ月半以上かかってしまった。身体的にも、精神的にも中々にしんどい期間だったが、凄く良い経験になった。

カウリスマキ作品を通じ、多少なりとも映画への眼差しが変わったと思う、彼から得たものは大きい。初めは彼のことをちっとも分かりゃしなかったが、今ではよく分かる気がする。完全に分かるなんてそんなことあるはずないけど、自分と近しいマインドを持っているんじゃないかなぁなんて勝手に考えている。大好きな監督の1人となった。

『ル・アーヴルの靴みがき』と『希望のかなた』を鑑賞してから『枯れ葉』を観たかったが、断念。『ル・アーヴル~』に至ってはそこまで高騰こそはしていないものの、市場に出回っている数が少なすぎるため入手が困難な状況、どうにか再販して欲しいものだ。

以上自分語り、以下今作の感想。

初めて観た時、正直「うわぁ…(ドン引き)」と思った。初期の作風を想起させるような厳しさに満ちている、『浮き雲』や『過去のない男』で見せた優しさは全くと言っていいほど顔を出さない。どこまでも冷酷で、現実的。

『パラダイスの虹』や『コントラクト・キラー』で見られたこの情けない主人公像、久しぶりだ。大して仕事も出来ないのに変にプライドが高い、どこから湧いてくるのだか根拠の無い自信で実現しようのない未来を描く、集団に溶け込めずずっと孤独、俺ですやん。いや、ここまで酷くない、そう信じたいところだ。でもやっぱり自分を重ね合わせてしまう、今までどれだけ本当に大事なものを選び損ねてきたか、身近な幸せに気づけなかったか、思い知らされる。

どう頑張ってもだらしなくてダサいんだけど、それでも自分なりに一生懸命生きてんだよ、カウリスマキはそこを肯定してくれる。キートス。

2024,26本目 2/4 BluRay
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