むるそー

ナイト・オン・ザ・プラネットのむるそーのレビュー・感想・評価

4.0
ロサンゼルス・ニューヨーク・パリ・ローマ・ヘルシンキ。真夜中のタクシーの中で繰り広げられるちょっとしたドラマを描くオムニバス作品。

タクシーってよくよく考えると結構不思議な空間かも。限られた時間を知らない人と同じ車内で共有する経験なんて他にはない。一期一会が前提にあるからこそ、双方が気負うことなく相手の人生を覗き見したりされたりできるんだろう。旅行先で色んな観光地に行っても、何年も経ってからふと思い出すのは移動中のタクシーの運転手さんとの会話だったりする。そういう刹那的な空間を嫌味なくお洒落に描いたのが今作。

5つの物語それぞれに色があって全部好きだったけど一番を挙げるならニューヨーク。fuckとshut upしか語彙のない陽気なアフリカンアメリカンのヨーヨーと東ドイツから来たばかりで英語もカタコト、自身のタクシーすら運転できないポンコツ道化師のヘルムートの2人が作り出す、口調は激しいがどこか優しい空気感が心地良い。あのお揃いの帽子欲しいよ。
むるそー

むるそー