「家なし、職なし、犬一匹」
ホームレスの女性ウェンディが次々と不運に見舞われる数日間の出来事を、哀愁たっぷり自然主義的に描いた作品。
愚かな行動がきっかけで大事なわんちゃんを失い、お金を失い、虎の子のおんぼろ車(移動手段かつ宿泊施設)まで廃車の憂き目に遭う始末。
仲良くなった警備員さんのこぼす
「家と仕事を得るためには家と仕事が必要ってこった」
という芯を突いた言葉と共に、何もかも失ったウェンディの肩には重たい現実だけがずっしりのし掛かる。
全てが悪い方へ悪い方へと転がっていくが、悲哀に加えうっすらおかしみが漂っており、そこにアレクサンダー・ペイン作品に近い雰囲気も感じる。
自分も貧乏バンドマンだった若い頃にウェンディと似た生活を送った経験があり、非常に身につまされる思いで観た。
長期的な展望を持たず、やるべきことや有事への備えをなまけて場当たり的に生きてると、そのツケが不思議と一気に回ってくるんだよね。
で、「ちゃんと頭を使って予測して準備してれば、こんな面倒な事にはならなかったのに…」って後悔するという。
自分のようなウェンディ予備軍のお仲間がたにおすすめです。