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パリ、テキサスのhulkのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.6
非常に良質な作品だった。自分はかなり好みのテイスト。

ストーリーとしての動きは少なめで、起承転結が強くはっきりしている感じでもなく、尚且つ観終わった後も、全ての疑問が完全に氷解したわけではなかった。でも、観ていてとても強く心を揺さぶられるようものがあり、非常に見応えがあり、鑑賞後も心地良い余韻が残った。

家族の再生や別離が丁寧に描かれていた感じかなと。本作の主人公のトラヴィスは、最初の放浪、弟夫婦との別れ、そしてラストの選択と、大きな3つの選択を行っていた。とても繊細且つ不器用且つ不完全なトラヴィスだけど、それぞれの選択は彼なりの選択でもあって、特にラストの選択はなんとなく予想も付いていたけど、それでも深く感動した。観る人の心のあり方次第で多分見方は異なるんだろうけど、自分としては前向きに感じたかな。まあどんな感想でもOKじゃないかなと。

Ry Cooderのギターの音色は、テキサスの広い荒野や砂漠等の原風景がよく似合っていて、乾いていつつもどこか優しさのあるものだった。これが全編に流れていたというのも、なんとなく温かい作風になっていたんだろうなと。

あと、グラスゴーの叙情派ロックバンドことTravisは、本作のトラヴィスから付けたとのこと。それを聞いて、Travisにも本作にもどちらも親近感が湧いた。
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