Dentdelait

パリ、テキサスのDentdelaitのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
3.9
映画本来のあるべき形を映し出している。
物語を語る映像を撮るのではなく、特に意味がないかの様な映像の連続が物語を作り出していく様。

マジックミラー越しに再会を果たす2人。
互いに電話越しで、記憶の中のイメージのみで会話をする。会話のみで続けられる映像の連続の中で、我々視聴者も本編では殆ど語られる事は無い2人の過去をイメージする事を強いられる。

意味が無い様な映像のイメージを連続させるその手法は、まるで我々の記憶そのものの様だ。

冒頭のトラヴィスが独りで荒野を唯途方もなく歩いているあの映像こそが、この作品の全てではないだろうか。

最初は一言も口をきかない主人公にイラつき、舐め腐ってんのかと思うけれど、エンドロールを迎え数日経った後でじわじわ良さがわかる筈だ。
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