碧翠

下町の太陽の碧翠のレビュー・感想・評価

下町の太陽(1963年製作の映画)
3.1
山田洋次監督 2作目

前作はコメディで面白かったのに
梅雨のジメジメした大気を纏ったような
陰気臭い映画だった

音が時代を連れてくる
団地の前で遊ぶ子供、建築の工事の音
汽車の汽笛、走り抜けるトラックの音
子供達が飛ばすラジコン飛行機
ありとあらゆる生活の音が織り交ぜてある
正にイメージする高度経済成長期

内容は現在と何ら変わらない

お金が欲しい
弟が反抗期で悪さをする
良い収入の男と結婚したい
団地の抽選に当たりたい(今からタワマンか)
愚連隊に絆される女(今なら反社)
ディスコでゴーゴーダンス(今ならクラブ)
ずる賢い奴が出世をする
気弱で陰気で真面目だけが取り柄の奴より、ヤンチャだけど優しくて熱いハートの持ち主がモテる

今と違う所は
ガジェットが無い所
道路が整備されていない所
女性は結婚したら家庭に入るのが当たり前って所

「愛情だけでは結婚出来ないのかしら?」
「それは理想だよ、将来の安定もない」
「でも、それじゃ結婚できない人がいっぱい居ることになるわ」

はい、その通り
この映画から60年後の2023年現在
生涯未婚率は男女合わせて45%
ほぼ半数が結婚しない世の中になりましたよ
碧翠

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