脱獄系ではショーシャンクの空にがとても好きだったけど、今作は個人的なかなりかなりハマった。
激しい暴力的な描写が少なく、シリアスでありながらも不快感を与えない作りでよかった。
ロードムービー仕立てだけど、中だるみが全くなく、むしろテンポ良く進むから集中も切れなくて良い。
なんだかハッピーなタイトルだなと思ってたけど、観賞後に印象がかなり変わる。この世界では何が『perfect』なのか。恵まれない環境に生まれ、残った選択肢で必死に喰らい付いてきたブッチは常に追われる身。そんな彼が人質として連れるフィリップはエホバの証人を信仰する母子家庭に生まれ、一般的な暮らしと愛を享受するも、何かと閉塞的な毎日を送る。
フィリップとブッチが過ごしたあの『現在』はきっと彼らにとっての『 perfect world』だったんだろう。全てから解放されて、やりたいことを思う存分できた時間。父親がいないフィリップにとってブッチは友達でありながら父のような愛を感じたのではないだろうか。ブッチにとっても、父に愛されなかった過去を浄化するようにフィリップに接していたように思う。
絶対に幸せにはなれない結末が2人を待ち受ける中、流れる愛おしい時間がとにかく切なかった。
ハロウィンやローラーコースターを経験させてあげるシーン、特にフィリップがブッチの手を握ろうとして払われって言うのを繰り返して結局仲良く手を繋ぐシーンが素晴らしく好き。
