【“友達作らないんじゃなかったの?”】
何度も観たい作品の一つ。
過去の出来事がきっかけにより、心を閉ざして生きる中学生の少女。
そんな彼女と出逢ってしまった中年ニューハーフ。
性差や年齢を超えた2人の距離が、愛情でも友情でもない関係で繋がってゆく様は、心に優しさに似た温かみを抱かせてくれる。
邦画の中で言えば、ニューハーフを演じる役者さんだと、この非・バランスの小日向文世さんの右に出る者は今のところいないのではないだろうか?
しぐさや、台詞回し、視線の向け方、どれをとっても素晴らしく、本当にどこかで生きている人のようだ。
そして、人に優しく、時に厳しく、底抜けに明るいのに、ふと孤独を漂わせる姿は主人公の少女だけでなく、私達の心までも溶かしてくれる。
今でこそセクシャリティーに寛容な時代ではあるが、この時代ではマイノリティー色があるので、そういった背景を汲み取りながらこの作品を観てゆくのも、また面白い。