南国のハワイで繰り広げられる複雑な恋愛模様は、誰に共感できるものではなく、プルーイットが上官から受けるしごきも、そんなに悲惨な風には見えない。
たいして面白くないエピソードの積み重ねに見える。
しかし、友人のマジオが友軍に射殺されてしまうシーンから、それまでの平坦な展開が、フレッド・ジンネマン監督の狙いだったことがわかってくる。
士官になるのに興味のないウォーデンが、それをきっかけにあきらかに態度が変わっていくさまが興味深く、いよいよ12月7日(現地時間)、日本軍による真珠湾空襲が始まった瞬間から、それまでの恋愛やら人間関係などどうでもよくなっていくのだ。
のどかな南国の生活が有事により激変し緊迫する。
舞台が真反対になってしまうことで、人間は、組織はどう変わるのか。
それが本作の大きなテーマのように思えます。
ラストに海に投げ捨てられる花輪に感じる無常が余韻を残します。
砂浜で抱き合うバート・ランカスターとデボラ・カーの抱き合うシーンの写真がメインで使われているので、未見の方は甘いラブ・ストーリーを連想されるかもしれませんが、全く逆の、極限状態に追い込まれた時の人間を描いた鋭い人間ドラマであります。
恋愛ドラマを期待すると確実に拍子抜けするでしょう。