ぬめら

キック・アスのぬめらのレビュー・感想・評価

キック・アス(2010年製作の映画)
4.6
公開当初全然注目されてなくてたしか興行収入もよくなかったけど、有村昆が絶賛してるの見て近くの映画館でやってなかったからDVD出てから借りてきた気がする。
前半はヒーローオタクの自分語りが永遠に続く。主人公はハイスクール物の海外ドラマでよく見る所謂カースト最下層の男の子で、変なベクトルに自意識を持ったキツイオタク。前半は本当に見るのやめたくなる。(共感性羞恥的な意味で)
それくらいカッコ悪い主人公とは対照的にクロエちゃん(かわいい)とニコラスケイジが死ぬほどかっこいい。前半のキツさもあってクロエちゃんとニコラスのアクションのかっこよさを拠り所にしながらなんとか観てた。なんでこんな映画のオファー受けたんだろうってちょっと疑問に思いながら。
でも、いつの間にか主人公に感情移入して応援しちゃうし終わった後、結果良かったなって思っちゃうそんな映画。

この映画は見方にもよるけどハッピーエンドじゃないと思うしそもそもヒーロー物なのかも怪しい。わたしたちはスクリーンの中のヒーローに多くを求めすぎているけどヒーローは神様じゃない。キック・アスは全てを解決できなかった。でもそれは当たり前だし普通のヒーロー物だって、描かれてないだけでその世界の中のたくさんの人が不幸のまま終わってるはず。特殊能力もなにもない普通の人間のキック・アスだからこそ、その痛みも敏感に感じて悩んで、それでも「憧れ」と若さ故の自惚れをエネルギーとしてひたすら突き進んでいく。観ている側も多かれ少なかれそういう経験や想いを自分の中に持っている(少なくとも私はそうだった)からこそ魅了されたり共感性羞恥を覚えたりしてしまうのだと思う。

気づいたらどんどん引き込まれて最後には「え、なにこの傑作。最高」ってなる映画。
明日また借りてこよう。
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