まい

息もできないのまいのレビュー・感想・評価

息もできない(2008年製作の映画)
3.6
父親が原因で最愛の母親と妹を亡くした借金取りの男サンフンと、同じく家庭に複雑な事情を抱えた女子高生ヨニの出逢いと交流を、二人それぞれの悲痛な過去と現在を交錯させながら描いた作品。“心に傷を負った男女の交流”+“過去の克服とその先の非情な末路”を韓国映画らしい湿り気のある映像の中にシビアに映し出しています。

似たような苦しみを共有するサンフンとヨニの関係には唯一希望めいた感情が芽生えます。暴力でしか表現できない男、でも根底には優しさが垣間見られます。主人公のサンフンはあのまま生きていたらどういう人生だったのか、幸せだったのだろうか、色々考えてしまいます。悲しみ、憎しみ、怒りといった負の感情とそれに伴う凄惨な暴力が強烈に渦巻く韓国映画らしい作風です。
見ているこっちまで本当に「息もできない」。非常に生々しい映画を久しぶりに見ました。
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