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「息もできない」に投稿された感想・評価

Xavier

Xavierの感想・評価

5.0
キム・コッピ…
初めて観たときは強烈だったなぁ…
キム・サンフンは昔からの友人マンシクと共に、取り立て屋として日々を送っている。その取り立ては、常に暴力的。
サンフンに至っては敵、味方構わず暴力を振るう始末。
サンフンには時々立ち寄る所があった。
仕事でいつも母が居らず、ひとりぼっちでいる甥のヒョンインの所だ。
サンフンは小さなヒョンインに対しても口が悪く、悪態をつくが何かと気にかけている。
ある日ヒョンインの所に行った帰り、偶然道を歩いていた女子高生につばを吐きかけてしまう(道に吐く筈がたまたま)
女子高生はサンフンを呼び止める。
やり取りの中で女子高生はサンフンを平手打ち。返す刀でサンフンも女子高生を殴り、意識を失ってしまう(普通、思いっきり殴るか?)
暫くたち女子高生が目を覚ますとじっと睨んでいるサンフンの姿が。
そこでも悪態をつくサンフンにつばを吐き返す女子高生。そして去ろうとしたサンフンに治療費を請求する。
それがハン・ヨニと初めて会ったときだった…

という感じ物語は始まる。
サンフンは誰に対しても口が悪く、悪態をつく。それが4歳年上のマンシクでも
取り立ては暴力的で執拗な取り立て。
サンフンがこんな風になってしまったのには理由があった。
サンフンの目の前で、日常的に繰り広げられる父親による母親への暴力。
そしてある日、いつもの様に母親に暴力を振るう父親。それを見かねた妹が父親の前に。包丁を持っていた父親は気づかずに刺してしまう。サンフンは妹を担ぎ病院へ、そしてそれを追った母親は車に引かれ帰らぬ人に…そして妹までも…
父親はその罪で刑務所に…
それから15年、出所した父親はサンフンと一緒に暮らしているが、サンフンは父親を許す事が出来ず、日常的に暴力を振るう。
ヨニの家庭環境も複雑だ。
ベトナム戦争帰りの父親は精神を病み、
時にはヨニが自分を殺そうとしている妄想に駆られヨニに辛くあたる。弟は学校へも行かず、毎日の様にヨニに金をせびり断ると暴力を振るう。
最初の出会いは最悪だったサンフンとヨニだったが…
似たような環境で育ってきた2人には、何かを通ずるものがあったんだろうな…
家では心が休まる事もなく、家のことで学校の事も疎かになり行き場のないヨニ
そんなヨニの心を知ってか知らずか分からないが、電話を掛けてくるサンフン。
そして2人で会うときだけがヨニにとっては心が休まる時だった。
サンフンにそんな心の変化があるなか、
変わらないもの
父親を許さないという気持ち

そしてある事件が起きる。

サンフンが家に帰ると父親が自殺を図っていたのだ。
咄嗟に父親をおぶったサンフンは病院に走り出していた
そして病院に着くや否や医師に向かい

"俺の血を抜け
俺の血を一滴も残さねえでやれ"と
サンフンは叫ぶ。

なんとか命をとりとめた父親。

その夜、サンフンはヨニを呼び出す
家で嫌な事があったヨニはサンフンの元に

漢江沿い座っているサンフンに気付き、声を掛け横に座るヨニ。
いつものサンフンとは違うと思いながらも、普通通りに接するヨニ。

サンフンはヨニに言う

"膝を貸してくれ"と

ヨニの膝枕に横になるサンフン。

ヨニにサンフンは

"両親は幸せか?
困らせないで親孝行しろ"と言う

ヨニは答える

"大きなお世話
あんたこそチンピラやめなよ
あんたの親はきっと泣いてるはずだわ"

サンフンはその言葉に声をあげて泣いた
そしてヨニも泣いた…

このシーン、大号泣だったなぁ…

この後の話が気になる人は是非ご覧になって下さい。

自分が行った事は、自分に返ってくる
因果応報だ
父親が母親に行った暴力は、後にサンフンから振るわれる暴力として返ってきた
そのサンフンは…

とても胸が締め付けられた。

作品の最後に対照的なシーンが交互に移る。
幸せそうな風景。
そして一方は…

ずっと涙が止まらなかったなぁ…

暴力を肯定する訳ではないが
何度観ても、いい作品だ。
じじ

じじの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

2021.06.20
暴力と暴言でしか表現できない可哀想な男サンフンの物語。ヨニ(女子高生)といるときだけは少しだけ心が軽くなった気がする。
因果応報、全ては自分に返ってくる。ヨニの兄貴がヤクザになっている場面を目撃して終幕。サンフンと死別の場面も数分しかなく、スッキリしないエンドだった。
傑作とまではいかなかった。
B'ley1015

B'ley1015の感想・評価

3.5
自分には合わない。
何故、この映画を観た多くの方が傑作だと言うのか、まったくわからない。
普段は暴力と汚い言葉でしか気持ちを表せないサンフンも、ヨニと一緒の時にだけ笑える、泣ける。
主役の二人共、ルックスは全然よろしくない。
ストーリーだって、表面上は怒りと暴力が多くの時間を占める。
だけど、すごくイノセントで切ない話だった。
日本の映画も見習おうよ。
uyuyu

uyuyuの感想・評価

4.0
ずっと気になってたけど、おっさんが女子高生に惹かれるってあらすじとか、ビジュアルの雰囲気から、なんとなーくキム・ギドク系シネフィル大喜び作品ではないかと先入観を持ち、敬遠してた私がバカでした。傑作でした。ヤンイクチュン恐るべし。
私は日々、暴力の話を聞き続ける仕事をしていることもあって、本作は刺さった。
主人公はずっと暴力をふるってるんだけど、それが暴力を肯定するようなもの、エンタメアクションとしての暴力ではないってところが圧巻。
映画のバイオレンスシーンは、時として、これを無批判に消費していいものだろうか?と疑問に思ったりすることもあるんだけど、本作においては、なぜ暴力が起きるのかということを構造的に、批判的にちゃんと見せていた。暴力の奥底にある、どうしようもない悲しみと怒り。女性の描き方も、歪みがなく、わりと安心して見れた。そういう意味でギドクの「悪い男」などというクズ作品とは雲泥の差。結局、監督の人間性や人権感覚ってことよね。
ヤンイクチュン、これ以降、俳優としての作品ばかりで、監督作がないんですね。次回作が見てみたい。
りか

りかの感想・評価

3.0
喧嘩シーン多いし基本口悪いから胸糞悪い部分多い。
最後まで救いが無かった。まああんだけ人殴ってたら無理もないか。
市場でサンフンとヨニが歩くシーンが好きやった。
1番エエ頃の長渕剛が主演はりそうな映画ですけど、本編でクソアマって何回言いました!?!?
間違いなくファン・ジョンミン先輩の「傷だらけのふたり」とならんで3大街金映画のひとつでしょう。
個人的に大切な作品なので迂闊に書けないと思っていたのを迂闊に書いちゃう。そんな日もある。
(3年前、リモートワークだった部下とのコミュニケーションのために書いていた社内ブログからの転載)

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借金の取り立てをなりわいにしている、というだけでは説明がつかないレベルに暴力的な主人公がシバラマ、シバラマ言うのでとにかく耳に残るのですが(このクソが。ぐらいな罵倒だそうです)、コミュニケーションを希求する表現を暴力以外に持たない主人公の不器用さ。
とはいえ目を覆いたくなるバイオレンス。
どうせロクな終わり方しないよなあと思わせておいて小綺麗にまとめるでもなくきっちり物語を着地させる手腕。
これはね、2時間半を忘れさせる傑作。

何度でも言いますけど「いまさら見ても/読んでも」って自分で自分に勝手に課すリミッターは外すべきですね。
今年見た・見るであろう映画トップ3に入るのはもちろん、この10年のレンジに広げてもトップ10に入ってくるやつでした。
はー堪能した。

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なんで見たのかすっかり忘れていたのですが、久しぶりの韓国出張が控えていたタイミング、と上記引用外のところに書いてあって(どこから見てもFUJIWARAのふじもん、とも書いている)たかだか3年前なのに隔世の感が。

あと、途中に出てくる“「いまさら見ても/読んでも」って自分で自分に勝手に課すリミッター”ってフレーズは、読者である部下に直接向けたことばで。
ハズレ作品を引いてしまうと時間の浪費による厭世観が強くなるから、最初からB級C級D級作品しか見ない。って言ってた若者で、それはそれで、若いなー。って笑顔になる類ですし、俺も少なからずソウイウトコロあるけど、ときどきそれ、捨ててみると面白いものに出会える可能性が増えるよ。
みたいな上司カゼを吹かしている日でした。
みんな優しいけど、言葉足らずで不器用なのが遣る瀬無い

因果応報ではあるけれど、それでもたくさん笑ってたくさん泣いて幸せで居てほしかった
暴力しか知らない不器用な男が女子高生と出会って恋にも似た友情を育んでいき、だんだんと愛情というものを知っていく。彼の心の中はさみしさでいっぱいだった、きっと。
怒りの感情しかないサンフンが声を出して泣き、彼の前では無理してたヨニが静かに泣くシーンめちゃくちゃ良かった。あの構図も良いなって。
最後そこで終わりか、、、って感じ。そういう生業の人の運命というか、彼の心のわだかまりが溶けてきただけにつらい。
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