あ

メロデ Melodiesのあのレビュー・感想・評価

メロデ Melodies(1989年製作の映画)
4.3
突然の「抱いて」、からの床に倒されるあきら、起き上がって「バカじゃないの」。ここ凄い。

関係性が動く時、予想外のところに顔が来る演出がスリリングでした。そうした瞬間に、単調な三角関係の話の裏で動いている暗い感情が唐突に表面へ現れる感覚がこれまた絶妙。

あきらは身近な男を都合のいい所に繋ぎ止めて精神的優位に立ちたいし、実際に立てたように見えるけれども、結局は自身の可愛げのなさと性の悪さを薄らと自覚していると同時に、男との実質的な距離感はなお全然埋まっていないという事実を認めざるを得ない。

穏やかな田舎道をドス黒い感情が歩いているこの感覚、流れの緩やかな川の底が渦を巻いているような映画でした。
あ