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ロリータのbennoのレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.9
ロリータ・コンプレックス(ロリコン)という言葉を生んだ、ウラジミール・ナボコフの名作、同名『ロリータ』をスタンリー・キューブリック監督が映画化

中年男性ハンバートが少女ロリータに恋愛感情を抱き、破綻へと向かうストーリー

冒頭、男性が少女のペディキュアを塗るシーンは象徴的で期待値も高まります
ただし原作と比べると、当時の検閲の関係もあるとは思いますが、脚本ナボコフとはなってはいるものの、随分削ぎ落とされた感は否めず、本とは別物と思って観た方が良いです
それを加味しても、キューブリックの匂わせの撮り方は素晴らしいです

ハンバートはロリータを人形のように扱い、理想を押し付け、束縛します 浅ましさ、傲慢さを全面に出しますが、唯一、人間味があり、愚かでもあります

心情が分からないまま物として扱われきたロリータも結婚し、お金の無心のためにハンバートと再会します
ただそこに現れたのはザ・人間・ロリータでした
強欲の塊で嬉しそうに大金を手にして、「物事なんて、そんなものよ」と言い放ちます(男性陣、心して観て下さい) 彼女はこれまでのことを告白し、そこでハンバートは操られていたのは自分だと気付きます

結局のところ、実存主義に訴えた作品で、登場人物は全て、現実を見ずに、理想を見ていたのです
 シャーロット(ロリータの母)はハンバートに
 ハンバートはロリータに
 ロリータはクィルティ(脚本家)に

深く考察出来る作品だと思いますが、私にはこれが限界 ストーリー自体は難しくないからこそ、色んな見方が出来る映画に仕上がっています

コメディ要素もあるので 楽しめます
ホテルでのハンバートとベルボーイのドリフ風コント
また、クィルティのキャラがとてもユニークで意味不明な言葉遊びはずーっと頭から離れません(どなたかわかる方、教えて頂きたいです)
観終わって気付いたのですが、あのピンクパンサーのピーター・セラーズでした!怪演ぶりは見ものです

最後に、世のおじさま方へ、少女と言えども女性は恐ろしい……という映画でした
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