少女と呼ぶにも女性と呼ぶにも難しい世代の純粋無垢なロリータ。
勝手に、意図的にモノクローム映画にしているんだろうと思っていたけど、1961年の作品であるならばモノクロで当然。
というかモノクローム映画であるからこそ、クラシック作品として評価されたという面もあるような気がする。
画角や撮影手法の点からは、あまりキューブリックらしさを感じられなかったのだが、登場人物がだんだんと混沌の中に投じられていき、ロリータを取り巻く人物が最終的には破滅の一途を辿るというサスペンス映画な展開は正にキューブリック節の素なのかもしれない。
前半からハンバート教授に感情移入できないことはないのだが、あまりにも深い愛憎と束縛が途中から狂気にしか見えなくなる時点で観客は突き放されて、改めて自分が観客であることを悟る。
決して知性的でもなく、大人びているわけでもない少女ロリータなのに、ハンバート氏が依存してしまうだけの魅力がどこかしらにある。
妄想版リメイクが叶うのならば、「LEON」期のナタリー・ポートマンに演じてもらいたい。