あしからず

虹いくたびのあしからずのレビュー・感想・評価

虹いくたび(1956年製作の映画)
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「お乳の型を取らせてくれないか?」
ああ、川端康成の発想はぶっ飛んでる。それとも当時では不思議じゃないことだったのかしら。

全員母ちがいの三姉妹。
物語は長女の京マチ子に焦点が当てられる。戦死した元恋人にお乳の型を取らされたり酷い言葉を投げかけられたり母親が自殺したり浮気者の父親は次女の若尾文子贔屓でそれはもう青酸カリだって飲むし年下の少年に走るのも当然当然。
そんな京マチ子にグッと感情移入してしまう一方、次女の若尾文子は勿論美しく一見非常に姉妹想いに見えるがけっこう自分本位でお姉様のためと言いつつ相手の気持ちを考える能力が欠如してる模様。なかなか曲者な役どころ。
川上康子は登場回数は少ないが純朴な三女の役で野の花のようだった。

上原謙は物腰柔らかい紳士といった感じだがそもそも3人の女性と子供をつくったり年頃の若尾文子とお風呂に入ったりとなかなかアグレッシブ。
京マチ子の気持ちを考えるとそんな父親に説教されるのは堪らないのは頷ける。
ここで父親の代わりの役目が元恋人の父親なのだが、この人が本当にいいことを言う。「死人を美化しない」これには100回頷いた。しかもこのお父さん、自分が父親の代わりを申し出る。この辺りは言い過ぎるとネタバレになってしまうけどまあ大体は川口浩のせいなのだけど。
この映画の川口浩もクセがあり京マチ子の事を「おねえさま」などと呼びはいからさんが通るの蘭丸みたいだけど蘭丸みたいな根性はなくてお前はなにしているのか?とういう唐変木。もっと根性だせよお。「巨人の玩具」のような無駄に偉そうな川口浩もムカつくがこの川口浩もなかなかである。

言い争ってフェードアウトみたいな演出が多くて3時間くらい観てるような気分になった。嫌いじゃないけどモヤっとするじれったい映画。嫌いじゃないけど

突っ込みどころが多い映画は感想が長くなってしまうナア
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