Uえい

ビジターQのUえいのレビュー・感想・評価

ビジターQ(2000年製作の映画)
3.5
アリアスターが三池崇史監督ベストに挙げていて、気になったので見てみた。三池版テオレマとも言えるストーリーを下敷きに、得意のエログロ描写が混ざりながらも家族愛を描く、ユニークな作品。

父親の清(遠藤憲一)が援交しているシーンから始まる。休職中のジャーナリストだからか、カメラやビデオで行為を撮影している。固定、ハンディ、写真、一人称の視点などの撮影をコラージュいていく編集が凄かった。

その後、ある男に頭を石で殴られ、何故か男が居候することになる。清は母、長女、次男の四人家族だが、それぞれ問題を抱えていた。母は覚醒剤の中毒者、長女は家出して援交を繰り返す、次男は虐められ、家庭内では母への暴行を繰り返していた。

男は、母に母性を取り戻させると、父や息子にもそれぞれの家族の中の本来の役割を目覚めさせていく。母が母性に目覚め、母乳が出る様になるという即物的な見せ方をするが、グチャグチャという効果音もあり、気持ち悪さも感じる。父は息子を守るという決意をするが、その過程で同僚の女性をレイプして殺してしまう。

そこから、家族の絆が再び芽生えていくが、倫理観だけはぶっ飛んでしまう。笑えるけど、笑っていいのか不安になるほどの過激さはまさに狂気。その中で本来並べて描けないはずの家族の愛、優しさが同居してしまっている。三池崇史の凄さを再認識した。
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