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王立宇宙軍 オネアミスの翼のSembのレビュー・感想・評価

4.0
圧巻だあ...。冒頭のシロツグが目を覚ます瞬間の部屋の窓から、なんて慎ましくて温かい日差しが差しているのだろうと感動する。象徴的な80年代の経済成長と副産物のような貧困が絵に現れたこの世界は書き込みの多さに深化され、異世界ものとしての凄みを効かせる。
この映画に登場する光や空の明るさは現実にあるかのような眩しさと、いつか僕自身が浴びた大好きな青い日差しの憧憬が同化してノスタルジックな気持ちを誘う。
一方前半の試飛行のシーンのカメラワークは芸術的だ。壁のような厚みのある空をひらりと翻してすいすいと泳ぐ飛行機の姿。後半の空戦において、まるで本当に銃座に立っているかのような画面の揺れがダイレクトにこちらに伝わってくる。
これだけ作り込まれたアニメをもって、地球の美しさに震えるだけのテーマは面白さには欠けるような気もするが、1カットごとにアニメ"映画"なのだという凄みが伝わってくる。紛れもない映画だ。
805本目。
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