この映画、ラストのシーンがなければ、お涙頂戴の所詮冴えない二人の子供じみた逃避行、のお話で終わっていたとおもう。
祐一が光代のために演技で、とか言うけれどそんな演技もできるような器用な人でもないし、演技であればあそこまで本気でやる必要もなかった。
人の行動って、必ずしも理由があるかと言われるとない時もあって、もしかしたら祐一のこの行為も「どうにも処理し難い感情の末」の行為だったのかなっておもう。
光代は彼のことを好きだったのに、待つことも忘れることもできぬまま。
結局この映画って、誰一人幸せになってない。
祐一によって、一人の死を巡って、関わった人全てが死ぬまで続く苦悩に悩まされる不幸を背負った。
そういう意味での「悪人」なのかとわたしは考えた。
観た後に、深津絵里が本作でモントリオール主演女優賞を獲ったことを知ったので、その結果にただただ納得。