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パリ、18区、夜。のooospemのレビュー・感想・評価

パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)
4.7
初クレール・ドゥニ。例えば街を見渡す時の、右から左へ左から右へと移ろう無意識の視線をすくい取るような、焦点は近いのになぜか全体の雰囲気を掴んでしまう、あざとく美しいカメラワークと、カラックスを思わせるコントラスト華やかな色彩、熱量高めの映像舞台でただひとり涼しげで魅力的だったあの人は、そういえばカラックスの『ポーラX』のあの女優だ。ははぁ。18区に行ったこともなければ20区ごとのイメージすらはっきりしない私だが、この区がやたらカオスでパリの中央に負けないほど密度が濃いということは分かった。人種のるつぼだ。光の都と呼ばれるパリの闇の顔。
というか邦題が完璧すぎて涙が出る。(J'ai pas sommeilって直訳で「私は眠くない」あるいは「眠れない」。新宿を眠らない街とでも言うのに似た、言わんとする意図は何となく分かるが、これをタイトルとしてネイティブはどう捉えるんだろう。日本人で言う「誰も知らない(是枝監督)」的な感じか?それにしても邦訳素晴らしすぎる)

『ベティ・ブルー』の完璧に可愛いベティことベアトリス・ダルは今日も完璧に可愛かった。まっすぐに不器用にダダ漏れに痛切に愛を叫ばずにはいられない女の子が最強に似合う。弱くて強いね。
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