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パリ、18区、夜。のsonozyのレビュー・感想・評価

パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)
4.0
1994年 仏 クレール・ドゥニ監督
原題: J'ai pas sommeil(I can't sleep)

タバコ片手にオンボロ車を走らせパリに向かう、クールビューティな女ダイガ(エカテリーナ・ゴルベワ)。
故郷リトアニアで知り合ったプロデューサーの話を真に受け、女優になれると思って来たようだがそんなはずもない。親戚の叔母さんの紹介で、何とか安ホテルのママに住み込みで雇ってもらうことになる。

そこは、パリ18区。様々な移民が暮らす街。
アフリカ系移民のテオは妻モナと幼子がいるが、夜はライブハウスでバンド(バイオリン担当)、昼は家具の組み立てで日銭を稼ぐ生活に嫌気し、マルティニークに帰ると決め、反対するモナともめている。
隣家のカップルも喧嘩が絶えず、テオは仕方なく屋上で子供と寝たりも。

テオの弟カミーユ(この印象的なビジュアルの彼です)は、ダイガが働く安ホテルでゲイの相方と暮らしており、ゲイクラブでダンサーをしつつ、ヤバい仕事から抜け出せないでいる。
たまに兄と会うが、何かを伝えようとしてやめてしまう。

ダイガ(『ポーラX』のエカテリーナ・ゴルベワ)、テオとモナ(『ベティ・ブルー』のベアトリス・ダル)、カミーユ。。それぞれが抱える孤独、悲哀、怒り、絶望...がパリ18区を漂い続ける。

実際に18区で起きた連続殺人事件が題材だそう。
母の誕生日にたくさんの親族が集まる中で、テオとカミーユ兄弟がそれぞれ母を取り合うようにダンスをした唯一の幸福なシーンが、哀愁のラストに重なり沁みました。
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