ツクヨミ

誰も知らないのツクヨミのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.1
重たい背景でも楽しい毎日を…
都内のアパートに越してきた母親と4人の兄妹。彼らは仲睦まじく生活していたがある日母親が帰ってこなくなり…
是枝裕和監督作品。今作は日常的な子供たちの生活を描きつつ、実は状況が深刻な話をリアリティたっぷりに映していてかなり心を抉られる作品だった。話は母親と子供4人がアパートに越してきたことから始まるが何か様子がおかしい…なにやら生活にはルールがあるらしく子供を外に出さないようにする母親、この時点で若干不穏な様相を見せていく。しかし流石の是枝裕和監督、そこからの見せ方は子供たちの自然な演技もあって楽しい子供たちの無邪気な生活を柔らかに描いていた。"空気人形"でも感じたことだが是枝裕和監督は辛い現実と緩やかで楽しい日常を同じ空間に共存させているのが実に絶妙。他の監督だったら絶対超絶胸糞映画になりそうなところを上手くフワッとした空気感で覆うような調理を施し独特の世界観を作り上げる。
しかし今作の後半から始まる怒涛の展開には流石に見るのが辛くなってくるほどの現実が襲いかかってきた。ある程度予想はできていたが、結局はやっぱりそうなるしかないのかという一抹の哀しさと焦燥感に支配されてしまう。日常的映画だが迎える結末は深刻で辛辣なのも是枝裕和監督らしさなのだろうか。
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