みさき

誰も知らないのみさきのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0
しんどすぎてしばらく落ち込んだ。でもこれは現実だ。数年前、「親ガチャ」という言葉が流行語大賞に選ばれたが、この言葉が言い当てた社会の問題は確実にあるし、多くの人が共通のイメージを即座に持てるという意味ではその功績は大きいとも言える。でも如何せん言葉がポップでキャッチーで軽すぎるので、すごく薄っぺらい受け入れられ方をしてると思う。健常者が自称する「アスペ」みたいな。都合の良い言葉としてみるみるうちに広まり、逆に見えにくくした問題もあると思う。この兄弟はまさしく親ガチャに外れた訳だが、周りの大人たちも彼らを助けようとはしない。知らないままでいるのは楽だし、首を突っ込むほど自分の生活にも余裕がない。彼らを知ろうとするのは中学生の紗希だけ。作中で1番の希望だったと思うが彼女だって子どもである。知らないでは済まされない、かと言って直接助けを求められた訳では無く、兄弟一緒に暮らすことだけは必死に守ろうとしている子どもを通報することは正しいのだろうか。社会に取りこぼされる子どもが1人でも少なく、1人でも多くの子どもを救える社会福祉であってほしい。柳楽優弥圧巻の演技でした。本当に、是枝監督は子どもを描くのがうまい。ずーっと見たくてずーっと待ってた!やってくれましたNetflix。もっと早く見たかった。
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