えいこ

誰も知らないのえいこのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.2
初めから終わりまで、重くやりきれない気持ちが通奏低音のように続く。後半にかけて息苦しく胸が痛い。身体にもくる。

演出がない分、観てる側の気持ちにもあまり起伏は起こらない。明や京子、そして家はあるが居場所のないサキに、少し感情移入はするが、ドキュメンタリー風な流れで淡々と心の底の深いところまで刺さってくる。もがきながら必死で生きる隣人に私たちは何ができるだろう。コンビニの店員、野球の監督、アパートの家主、親切な人はいるのに、それ以上踏み込むことは難しい。

大人たちの世界とは離れたあの部屋で4人の子供たちが仲良く真っ直ぐ健気なのが救い。明の知恵と愛と強さたるや…中途半端な〝大人〟よりずっと成熟している。柳楽優弥のちょっとした表情が忘れがたい。
えいこ

えいこ