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心中天使のodyssのレビュー・感想・評価

心中天使(2010年製作の映画)
2.0
【監督の意図は分かるが】

監督のやりたいことは或る程度伝わってくる映画です。
つまり、この世にない場所や、人間同士のありえない関係を、詩のごとくに映像で表現しようとしたわけでしょう。

ただし、それが成功しているかというと、残念ながらそうではありません。ものの見事に失敗したと評するしかない。

なぜうまくいかなかったのか。

まず、脚本のファンタスティックさが足りないと思う。
日常生活で人間がふと感じる不条理や違和感が、登場人物同士の交錯する中でもっと最初から積極的に表現されていなくてはならなかった。結局、途中までは主人公三人の持つ違和感を小出しに表現するだけにとどまっていて、最後でいきなりアレですから、「なに、これ?」的になってしまうのです。

それからキャスティング。
少なくとも、尾野真千子はミスキャストだと思いますね。彼女は、何と言うのかな、日常に生きていてどこか足が地に着いていない若い女性、という感じがしないんですね。大塚寧々さんの若い頃のような容姿の女優じゃないとダメですよ。手を離すとどこかに飛んでいってしまいそうな雰囲気の女性じゃなきゃ。

そういう意味では、高校生を演じる菊里ひかりは、悪くなかった。この映画を見て唯一よかったと思ったのは、彼女を知ったことです。また別の映画に出て欲しい。
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