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アメイジング・スパイダーマンの雑記猫のレビュー・感想・評価

2.9
 前作『スパイダーマン3』からわずか5年でのリブートということで、どうしてもトビー・マグワイア版との差別化が求められた本作。前シリーズと比較して、ティーンネイジャーものの要素を抑え、失踪した両親の謎やヴィランであるリザードとの因縁などのヒーローものの要素を強めたダークな作風に仕上げることで、前述の差別化はある程度達成されているように思われる。

 実写化4作品目ともなると、スパイダーウェブを用いたスパイダーマン特有のアクションの映像化も非常にこなれたものになっている。前3部作のアクションシーンはさすがに今見ると少し古臭さの感じるものとなってしまったが、本作のアクションシーンはかなりのアップデートがなされており、今見ても非常に洗練されている。

 一方、ストーリーに関しては、主人公・ピーターがリザード打倒を決意するまでの心情の変化や、ニューヨーク市民がスパイダーマンを受け入れていくまでの流れ、叔父亡き後のピーターと叔母との和解、といった重要な展開の描写がことごとく弱く薄いので、今一歩、感情移入がしにくいものとなっている。残念ながら、シリーズ化への目配せをしすぎた結果、単品としての出来がいまいちになってしまっているように感じる。
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