トランティニャン

スプラッシュのトランティニャンのレビュー・感想・評価

スプラッシュ(1984年製作の映画)
3.0
驚きは主演のトム・ハンクスとダリル・ハンナ。二人ともめちゃくちゃ若い。しかもトムに関しては「キャスト・アウェイ」ばりにやせている。当時のファンは今のトムに複雑な感情を抱いているそうです。また、ダリル・ハンナは年増女の印象が強い「キル・ビル」で初めて知ったので、初々しい人魚姿とのギャップに当初苦しみました。  

「ベートーベン」や「ホーム・アローン」を子供の頃に何度も観た時に感じたような心地良い幸福感に包まれていました。それは、細部に?な所をはらみつつも、ファンタジーでそれを無効化し、逆に、観客を楽しませ、温かい気持ちにさせるための細部に気を遣っているからでしょう。ロブスターを丸かじりしてしまうマジソンはおちゃめだし、「普通に女性とめぐり合って、結婚して、子供の学芸会を観に行きたいんだ」と願うも、マジソンが人魚と知って苦悩するアランや、マジソンは水に濡れてしまうと足がヒレになってしまうので、雨が降ってきて橋の下で止むのを待っているシーン(橋の上ではアランが必死でマジソンを探している)は切なかったりもしました。また、コインを落としてパンツを覗こうとするアランの兄や、人魚を探して女性の足に水をかけまくる科学者など、こういう作品には欠かせないナイス・キャラもしっかりいました。最後には、あのトム・ハンクスがNYのど真ん中でカーチェイスを繰り広げます。 

あと、人魚が泳ぐ水中の美しいシーンや、足がヒレになってしまうシーンなど、今では安易にCGに頼りがちなシーンに、当時の制作者の苦労がにじみ出ているのもとても良かったです。とにかく「スプラッシュ」は、勝利の方程式がしっかりそろった、ハリウッドらしい良作でした。