イチロヲ

モダン・タイムスのイチロヲのレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
4.5
工場勤務の労働者チャップリンが、資本主義社会に揉まれながら、貧困層の娘に充実した生活を与えようとする。トーキー反対派のチャップリンが、時流に合わせてトーキーを採用している、スラップスティック・コメディ。

ヒロイン役のポーレット・ゴダードは、チャップリンの当時の妻。極貧時代のチャップリンが経験した過酷な日常を、そのままヒロインに投影させている。また、「街の灯」と同様に「ヒロインに向けた愛情=母親の愛情」という方程式を汲み取ることができる。

機械工場の巨大セットの中で繰り広げられるパントマイムが、もはや「芸術を超越した何か」とも言えるレベルに達している。登場人物たちの一挙手一投足が、まるでパズルのピースのようになっており、それらが合わさっていく爽快感を享受することが可能。

チャップリンが肉声を発するラストシーンは、「サイレントを貫いてきたチャップリンが、一体何を喋るのだろうか?」という、当時の観客の気持ちを汲み取りながら鑑賞すると、感慨もひとしお。
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