Omizu

ドッペルゲンガーのOmizuのレビュー・感想・評価

ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)
3.7
【2003年キネマ旬報日本映画ベストテン 第9位】
黒沢清作品。役所広司が科学者とそのドッペルゲンガーの二役を演じた。永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明ら共演。

まさかここまでコメディ全振りだとは思っていなかった。テーマ的に『CURE』や『回路』みたいな感じかなーと思っていたらとんでもない。

序盤はサスペンス的な展開、撮り方でワクワクさせる。永作博美演じる由佳が弟のドッペルゲンガーをみるくだりはこの映画で最もスリリングで美しい。

しかしその後、役所広司演じる早崎がドッペルゲンガーを観てから、つまり冒頭20分ほどでコメディ色が一気に強くなり、ドッペルゲンガーと普通に話すようになる。

これはどこに着地するんだ?と思っているとどんどん引き込まれていく。さすがは黒沢清。

あっけなくやられたり死んだりするのが面白すぎる。柄本明サイコー!「自分を見つめ直すか・・・」「あ!」で死ぬほど笑った。

役所広司はもちろん役者がみな素晴らしい。ユースケ・サンタマリアはバカっぽく登場しつつも徐々に欲を出していくのが上手いし、永作博美は逆にどこか影がある感じから爽やかになっていくのがいい。永作博美は声がいいんじゃないかな。柄本明はいつも通り面白い。

ドッペルゲンガーという設定をこんな風に調理してしまうとは。人の欲の表れというのはよくある解釈ではあるが、血みどろコメディという話にするというセンスがすごい。黒沢清にしかできない珍作。
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