Niwa3

デルス・ウザーラのNiwa3のレビュー・感想・評価

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)
3.0
黒澤明がロシアで撮った映画。
リメイク公開中の"生きる"のついでに鑑賞。
ロシアの地質調査隊が森で出会った少数民族の猟師、デルス・ウザーラ。
朴訥とした喋り方だが、自然を熟知した彼の知恵によって何度も調査隊は危機を乗り越える。
調査隊の隊長はデルス・ウザーラに命を救われた恩義と、当人の心の美しさを気に入り、彼を重用する。
調査隊が2度目の調査に赴いた際、再びデルス・ウザーラと出会うのだが、加齢から来る目の衰えにより、射撃の腕前が落ちたことを悟るデルス・ウザーラ。
猟師として生きていけないことを不憫に思い、隊長は街で一緒に暮らすことを提案する。しかし山での暮らししか知らない男が街に馴染めるはずも無く…

全体を通して必要最低限のBGMや演出に留まっており、リアルな映像で探検が進んでいく。本物の虎が出てきた時は驚いた。
調べると生後三ヶ月程度の虎を捕まえてきて成長を待ったそうで、確かに言われてみればそんなに大きく無かった。

善意から来るものではあるが、西洋的な価値観を啓蒙することが必ずしも幸福をもたらすわけでは無いといったメッセージをラストシーンでは感じさせられた。

並行して"利他"に関する本を読んでいるが、人のことを思ってやった行いが本当に相手のためになるかは、結局コントロールできないものなのかと思った。
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