サド和尚

ペイバックのサド和尚のレビュー・感想・評価

ペイバック(1999年製作の映画)
3.6
THIS IS MEN'S WORLD.

「今度はワルだぜ」という日本公開当時のコピーが示す通り(うろ覚え)、メル・ギブソンさん初の悪党役。
悪役ではありません。
度が過ぎるクソ真面目な犯罪者ポーター。
昔の女とのアツアツ写真を残していたせいで嫁には背中に弾をブチ込まれるわ、サドマゾ趣味のビジネスパートナーには金を奪われるわと散々な目に。
タフガイなんで死にませんでしたが、クソ真面目な男は奪われた金を返してもらうために再び街へと繰り出します。

だいたいこの手の話は数百万ドルとか数千万ドルとかの大金を取り返すのが常なところ、このポーターの奪還目標金額は7万ドル。何故7万ドルなのかといえば、奪われた銭が7万ドルだからというのがその理由。小さい家だって買えません。
しかし、額の大小など気にしないのがこのクソ真面目な男。
金と一緒にバックレた奴を探してカチコミをかけていき、それはやがてバックレ野郎を召し上げた犯罪組織そのものとの抗争に発展していく事になりますが、変化もリスクも知った事かと構わず関係者一同に7万ドルを返すよう要求していくのです。

どんどん撃ち殺して死体の山を築くタイプではなく、取引でも強盗でも強襲と機転とピンポイントアタックで物事を手っ取り早く片付けるタイプの頭は回る主人公。
敵が何人居ようとどんな大物でもお構い無し、眉間に皺は寄せても自分の筋だけは曲げない男のマイウェイが、クールでスタイリッシュなテーマ曲と、時に情感たっぷりなBBkingsの名曲などと共に、ハードに描かれます。
名うての悪党には少額なのか、たまに返してもらいたい金額を間違えられたり少ないとか呆れられたりもします。その度にイライラしながら訂正するのが、ちょっとかわいい。だから、7万ドルだ!
まあ、惚れた女とかには弱弱です。
チャイニーズファーストフードが食べたくなる映画でもあります。街角で何食ってるのかな?

とりたてて深いテーマ性もないし、簡潔なストーリーなので、あまり気負わず切った張ったの男の世界を楽しみましょう。

しかし、そんなクソ真面目で頭の回る男が、どうして嫁と結婚する時に昔の女の写真を処分してなかったのかが、この映画最大の謎かもしれません。
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