マンダレイのアイのレビュー・感想・評価

前作のドッグヴィルのテーマを引き継ぎつつ、今作では「正義」の功罪を描いている。

「間違いは正すべき」という考えは正解だが、間違いの裏にある細かな事情への配慮を欠いたまま急激に変革を起こすと、ずっと「間違い」の中で生きてきた人間は適応できず、エンスト状態に陥ってしまう。

そういう意味では、奴隷制が廃止されてもなお、奴隷制同然の支配を続けていたお婆ちゃんこそ、白人としての「責任」を果たしていた人物だと言える、皮肉なお話。