ShintaroOoooooo

ローズマリーの赤ちゃんのShintaroOooooooのレビュー・感想・評価

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)
4.0
日常に潜む不気味さを巧く演出した秀作。

主人公のミア・ファローは光の当たり方で顔が青白く見えることもあり、だんだんやつれていく。
妊娠してからは常にヒステリックな状態である。
そもそもヒステリーという言葉の語源はギリシャ語の子宮を意味する言葉にある。
妊娠期には子宮が胎内で蠢めくことで女性はヒステリックになってしまう、と考えられていたわけである。
語源に忠実に考えるならば、精神が不安定になって周囲の人を不気味に感じてしまっているだけではないか、と想像してしまう。
さらに、夢うつつな状態で見た悪魔のようなものとの姦通シーンを除くと、作中に非日常的な光景は出てこない。
つまりマンションの住人が赤ちゃんを狙っているというのは空想の域を出るものではなく、ミア・ファローによる彼らは悪魔教徒だという説明は決定打に欠ける。
観客にとっても周囲に味方がいない主人公に同情しつつも、最後までミア・ファローの空想説を捨て切れないで観るしかないところに、監督の巧さを感じられる。
ShintaroOoooooo

ShintaroOoooooo