とりこ

ロスト・ハイウェイのとりこのレビュー・感想・評価

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)
4.1
やっぱりなっていう難解さ。それがたまらない。きっと解釈は人それぞれなんだろうと思う。

写真のような風景画より心象風景画の方がずっと好きな私。同じ光景も画家の目を通すと全く違うように見えることが面白いから。
この映画を観てそれを思い出した。これはフレッドの目を通した世界。誰かの記憶とも記録とも当然同じではない。

私の世界は私だけのもの、とたまに思う。私が死んだらこの世界は終わるのかもしれないと。
フレッドの世界は愛する人を殺したことで袋小路に入り込む。世界は捻じ曲がった。浮気相手を殺す為に別人になったり、愛する人の過去の姿に惑わされたり。しかし事実がビデオ映像やミステリーマンとして現れて追い詰められる。いや、そもそもこの話のスタートは愛する人を殺すよりも浮気相手を殺すことを目的としてスタートしているのかもしれない。
なんにせよ、ハイウェイを走って行っても、きっと元に戻って来てしまうのだろう。彼の世界は閉じてしまった。
とりこ

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