mari

さくらんのmariのレビュー・感想・評価

さくらん(2007年製作の映画)
3.2
暴力的な赤と、残酷さを揶揄した金魚が象徴的。

囲われた中でしか生きられない金魚を
あえて門の中に閉じ込めて、
まるで自由に空でも飛べるかのような
錯覚を起こさせる残酷さに鳥肌が立つ。

一度足を踏み入れたら、結局は逃げられない。
自らの意志なんて尊重されない。

花魁系で強かな悲しみ系の作品は多々観てきたけれど、
中指立てて血の気が多いのを全面に出しながら
裏に純粋な心の優しさを隠して、
なんとか強くあろうとする主人公はとても新鮮だった。

どんな仕草が美しいと思われるのか
無意識にわかるなんて、側からみれば天職。
でも本人にとっては愛されようと愛されまいと、
どちらにしても地獄。

ラストシーンは私にとっては死後の世界。
死の後に夢見ていた美しい風景で笑っているように思えた。
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