kaitomo

お早ようのkaitomoのレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.1
やたら皆、人の家に出入りする。ご近所さんたちのせまーい世界の群像喜劇。毒とほっこりのバランスが抜群に良い。
消えた町内会費をめぐる町内の疑心暗鬼。あることないこと吹聴するオバチャンに辟易するも、ここまで根性曲がってると逆に清々しくて笑ってしまう。更におばあちゃんの毒舌がそれを超えてくるところがすげえ面白い。
この話はメインになってもおかしくないが、主軸は、テレビ買ってくれよ兄弟のだんまりストライキ。余計なこと言うなって言うけど大人だって余計なことばかり言って、大事なことはろくに言わない。何も言わなくたって同じことさ、と。思いのほか頑張ってだんまりし続ける子供たちが憎らしくも愛らしい。
天気の話ばっかりして、なかなか距離の縮まらない男女もとても微笑ましい。
「テレビなんか見てたら白痴になるぞ」という時代を経て、「ネットばかり見てたらアホになるぞ」という時代になった。便利さへの警戒感も、昔も今も変わらない。
小津作品は、大昔に一作だけ観て退屈したから観てなかったが、コメディサイドから観ていくと良いかもしれない。
パンツ出してくれよ少年が一番可愛いかった。
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