n

お早ようのnのレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.5
結局、小津が一番じゃんとなってしまう。ならざるを得ない。

もう全てが音楽的というか。観ている側の体にズン、ズンとリズム刻んでくるような。観ること、そして聴くこと自体が快感になってくるという。

おばあちゃんがデカい包丁持ち出してくるとか、おじさんの低音の屁で「呼んだ?」と嫁が聞くベタなテンドンとか。普通に声出して笑ってしまう。イサムちゃんの佇まいだけでこっちの頬ゆるむし。上等すぎるコメディである。

そしてあいさつ=無駄 is importantであるという。そういう極めて身近な題材を扱いながらも、その挨拶がなかったことで人間関係に軋轢が生まれてしまい、ちょっとしたサスペンスも生じさせるという脚本の周到さ。で、そのサスペンスの落としどころも、白とも黒ともつけない、中間のところに着地させるという。いわばこれこそが"知性"というか。

あと、お揃いのセーターとかわかりやすいとこもだけど、控えめながらもめっちゃオシャレな衣装とかね。おねーさんの赤ジャケットなど。そういうとこもすごく良い。

つまりもう、ここには全てが揃っている。
n

n