佳子

お早ようの佳子のレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.5
TSUTAYAみんなが愛してやまない365本
273本目

おはよう。
今日は雨になるみたいですね。
始業式なのに、嫌ですね。

365本の挑戦をしていて良かったと思うことの1つは、小津監督を知ったことだ。

「東京物語」は、この365本の中に入っていなければ、観ることのない作品だった。
初めて見たとき、あまりの完成度に驚いた。戦後すぐにこんな作品を作った人がいたのかと。

本作も素晴らしかった。

当時の新興住宅地で繰り広げられるご近所物語である。
TVは贅沢品で、相撲が最高の娯楽。
洗濯機を月賦で買う時代。
給食費を学校に手で持っていく時代。
子供が来ている服は、毎日同じセーター。
現代からみれば、とても不便な生活なのに、笠智衆は世の中が便利になって、失ったものがあると語る。

子供が挨拶しない理由を、自分がした事に結びつけ、逆恨みして近所に言いふらすおばちゃん。その一連の流れの自然なこと。
押し売りの後にくる販売者が実はグルだったことが、さらっと提示されていたり、翻訳家のマンションで、何処からか聞こえている子供のピアノのおけいこの音🎹とか、旦那の再就職祝いの翌朝から奥さんが突然味方につく感じとか。オナラを出そうとして、いつも実がでてしまうこうちゃんとか。まさかの出刃包丁とか。

ザ、日常を描きながら、繊細かつ大胆で
1つ1つのシーンに無駄がない。

時代が2つ変わっても、小津監督の作品は色褪せず、普遍的。本当に天才だと思う。
アイラブユッ。
佳子

佳子