Jeffrey

麗猫伝説 劇場版のJeffreyのレビュー・感想・評価

麗猫伝説 劇場版(1998年製作の映画)
2.8
「麗猫伝説」

冒頭、一九八X年の瀬戸内シネマのある尾道市。若手脚本家の男、仕事の依頼、伝説の美人女優、邸宅にいる映画監督、謎の忠告、フィルム、小舟、ダンス、過去。今、伝説が垣間見れる…本作は大林宣彦が一九八三年に日本テレビ系列で制作した火曜サスペンス劇場百回記念作としてヒットした本作が国内で初ソフト化され購入して、この度初鑑賞したが素晴らしい。オープニングのあの火曜サスペンスならではのタイトルの出方と音楽は懐かしさを覚える。円谷プロダクションと大林宣彦のその見事な化学反応が映画を夢中にさせる。まさしく彼にしか作れない映画である。今回のDVDの仕様は名物のCM前後のアイキャッチも放送当時のまま収録されている。ちなみに八月三〇日に放映されたものである。劇中で“日本のハリウッド”とかつて呼ばれた尾道にある「瀬戸内キネマ」を舞台に、不老の伝説的美人女優をめぐるミステリーになっていて、主演は入江たか子、入江若葉、柄本明、風吹ジュンなど。

さて、物語は一九八X年若手脚本家、志村良平のもとに大仕事が舞い込んだ。それは伝説の美人女優竜造寺明子のカムバック映画のシナリオの執筆依頼だった。良平は早速明子と対面するが、我が身を疑った。もう老人のはずの彼女は若く美しい女性だったのだ。良平は彼女の住む邸宅に住み込みで執筆作業を始める。その邸宅で彼女と同居する映画監督、水森から明子さんを抱いてはいけないよと謎の忠告を受ける良平。彼がこの仕事に抜擢されたのには驚きの理由があったのだ…と簡単に説明するとこんな感じで、大林宣彦監督がこだわり続けた映画の虚構性を見事に映し出している。ちなみにロケ地は尾道市である(彼の作品の多くの舞台になっている)。

いゃ〜、まさか岩崎宏美の家路がオープニングで流れるとは思いもしなかった(彼女の大ファンである)。エンディングも同じ曲が流れる。化け猫映画へのオマージュ的作品なんだが、もともとテレビ用映画として作られた大井武蔵野館配給の十六ミリ作品の劇場版あるみたいだ。VHSがバップから発売されていた。正直そこまで好きな映画ではなかったが、大林監督らしさは全面的に出ていてその分よかった。火曜サスペンスレベルで言うと傑作なのかもしれないが、一般的に彼の他の作品と比べてしまうと普通になってしまう。それでも章仕立てで面白かった。若いときの間風間ジュンが魅力的。この作品の予告編が最高に面白く感じる。
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