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ロード・オブ・ウォーのプライアのネタバレレビュー・内容・結末

ロード・オブ・ウォー(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

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主人公のニコラスは弟と共に武器売買に手を染める。
そして弟は引退するが、一人で超一流の闇証人となる。
警察も彼の犯行を確信しているが、尻尾を捕まえられない。

やがて愛する女と出会い、自身の仕事を偽って結婚する。
刑事が妻にニコラスの正体を明かす。
妻は銃で両親を殺されたので、ニコラスを責める。

これを機会にニコラスは足を洗うが、
かつて濃い付き合いのあったリベリアの独裁者に唆され、復帰する。
信用できる仲間もいないので、弟を説得してコンビを組んだ。

いざリベリアへ武器を運ぶことに成功するが、その悲惨さに弟は驚く。
武器を持たない弱者達は理由もなく蹂躙され殺される。
それが当たり前になっている現状を見て弟は武器を売ることは、
罪もない人間達を間接的に殺すようなものだと主張する。

ニコラスは必死に抑えて仕方がないと言い聞かせるが、
弟はついに武器の半分を爆破し、リベリア兵士に殺された。

弟の死を事故死にしてアメリカに帰ったニコラスだが、
結局足がつき、刑事に捕らえられる。
しかしニコラスの予想通り、圧力によって解放となった。

世界最大の武器証人はアメリカを筆頭とした国連常任理事国である。
しかし立場上彼らはおおっぴらに武器を売れないことも多く、
その時にはニコラスのような存在は必要なのであった。
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考えさせられる作品。
おそらく慢性的な内戦という異常な状態の中では、
人間の命の価値なんて小さなものとなってしまうのだろう。

特に理由もなく、武器を持つ者のストレス解消のようなノリで、
簡単に人が殺されて行くのは悲惨だった。

確かにニコラスのような闇商人たちに責任はあるだろう。
しかし上記のように、最大の武器商人は先進国たちなのである。
しかも常任理事国がその力を利用して殺人兵器を売っている。
自国の利益のために・・・こんな世界ははっきり言って異常だ。

この作品は史実に基づいて作られたもので、
内容が内容だけにアメリカではなくカナダでの公開となったそうだ。

今さら綺麗ごとを言うつもりはないが、
それでも少しでも戦争や内戦はなくなって欲しい。
世界のリーダーたる先進国はエゴに走るのをやめるべきだ。

しかし弱者の味方となって全世界を飢餓から救おうとすれば、
たちまち人口爆発が起こって先進国にとっては都合が悪い。
だから助けられない。そういう矛盾と直面して生きている。

自分は、少なくとも贅沢に生きる事はしない。
それはただの自己満足だが、せめてもの誠意だと思う。
平凡という幸せを知らずに生きている人たちもいるのだ。
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