ぞら

ロード・オブ・ウォーのぞらのネタバレレビュー・内容・結末

ロード・オブ・ウォー(2005年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ハイペースで物語が進むため、「この情報量でまだ1時間経ってないのか⁉️」と驚く程
しかし淡々としている為に見辛さは感じない
場面が切り替わるのが早いので、主人公の語りが心地良い

冒頭、弾丸視点で進むシーンの終着点が年端もない子供の眉間で心鷲掴み

薬中の身内って物語だと主人公の足を引っ張りがち(主人公の弱みを知ってる分揺すったり)な気がするが、これは意外や意外!
画面に登場する人物達の考えられる最悪な関わり合いは無く、むしろ兄弟の絆は強固で叔父も親族を裏切れないタチ、敵は法に乗っ取る誠実な正義マンだし、商売相手達も主人公の家族までどうこうしようとはしない

弟が薬中になってしまったのも、自分の中の正義と現実が整理出来なくなって心が壊れたから
「戦わないことだ、特に自分とは」
というラストのセリフが効いてくる 
難民達の現実を前に自分の命を守る為に逃げ、薬にも逃げ、最期は戦った弟
1番弟が人間らしかったかもしれない

主人公の奥さんは主人公が何か良からぬことをやっているとずっと感づいていた
にも関わらず、とたんに偽善者ぶってまともな生き方をして欲しいと頼む
でも生活水準は下げようとしていない
わしとしてはこの奥さんのほうがよっぽど怖い

主人公を捕まえようとする敵はかなりカッコ良かった
密売人相手だと警察の方も大分アウトローなのかと思っていたが、権力は無いが正義感はあるキャラクターなのがいい
が、彼がやっていることは焼け石に水であり根本的な解決には決して至らないんだろう

最後のナレーションは胸にずっしりくるものがあった
武器商人達のみが戦争の火種ではない
武器保有国に対抗する為、フリーの商人達を頼っている人々がいる
国とは法律とは政治家とは…?
様々な皮肉や警鐘を織り交ぜた映画だった


こういう映画を観た後、各国の情勢を知っても何をして良いか分からないし、正直言って銃を持たされる国じゃ無くて良かったと自分本位なことを考えてしまう
…自分には関係ない…
このままで本当にいいのだろうか?
ぞら

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