このレビューはネタバレを含みます
「別れの理由は、まあ色々、ってことになってる。でも本当は一つだ。僕が逃げた。」
映画とかドラマにありがちなハッピーエンドじゃなくて、現実だったらこんなもんだよなっていう現実的なストーリー。
福祉の仕事がしたいと言いながら障害者がずるいという香苗、ジョゼには自分が居てあげないとと言いながら結局逃げてしまった恒夫。
その弱さ、女々しさ、情けなさがリアル。障害の有無関係なく、受け止めきれなくて終わる恋は沢山ある。
ジョゼが恒夫に、車椅子はいらない、ずっと背負ってくれたらいいと言ったのは、実家にジョゼを連れていくつもりがない、つまりいずれは去っていくだろう恒夫に正当な理由を与えるためにワガママを言ったのだろう。
そして恒夫もその言葉で現実に戻され、ジョゼが障害者だと気づかされ、障害者と一緒に生きていく覚悟があるのか自問自答する。
人を愛することは、何かを手放して成り立つことが多い。
若くて未熟な私たちは選択を誤って大切な人を傷つけてしまうこともあるけど、年月を経て「正しかった」と思える日が来るといいね。