ニャロメ

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男のニャロメのレビュー・感想・評価

4.5
ローカルヒーロー夢に生きた男

公開当時、マークノップラーのサントラということで見たのですが、そのときは音楽と景色がいい、という程度の印象しかなく。

アマプラでレンタル400円を支払って見直してみました。

いや~素晴らしい映画でした。
最初に観たときはローカルヒーローが誰のことを言っていたのかすらわかっていなかった。

アメリカの石油会社が設備を建設するために、スコットランドの美しい海辺の村の土地を買収するという話。
優秀な社員が現地に乗り込み、土地の人も大金を前に売る気満々。
話は順調にと思いきや、海岸の掘っ建て小屋に住む、土地を愛するおじいさんが登場して話が難航。星好きな社長自らヘリコプターで現地に赴いて・・・

私が住んでいる稲毛には、幼い頃は遠浅の海岸が広がり、幼稚園の遠足で行ったとき、カニ、ヤドカリ、イソギンチャク、ウミウシ、ヒトデ、アカエイといった図鑑で見たたくさんの生きものがいて夢中になりました。そのような豊潤な海があったのです。その後埋め立てがすすみ、現在は大きな団地や商業施設、倉庫等が立ち並んでいます。
作家の椎名誠さんも書いておられますが、椎名さんが少年時代を過ごした幕張の海も同様だったのが、地元の漁師さんたちが「漁業権」を売り、「役人の海」になってしまった。
千葉の海にももしかしたらローカルヒーローがいたのかもしれませんが、開発の波に飲み込まれ、豊かな海は消滅してしまったのです。

時代が高度成長期だったので仕方ないのかもしれませんが、取り返しのつかない、大切なものを失ってしまったと思わずにはいられません。

やはりマークノップラーの「ローカルヒーロー」のテーマは心に沁みました。
ニャロメ

ニャロメ