【映画は文学や文学者を描けない】
実在のアメリカ作家チャールズ・ブコウスキーの自伝をもとに、ベント・ハーメル監督が映画化した作品だそうである。
しかし、あまり面白みを感じなかった。主人公を演じるマット・ディロンにはたしかに味がある。彼のファンには悪くない映画かも知れない。
だけど彼がまごうことなき詩人であり、彼には才能があり、その作品を生み出す彼の仕事ぶりはすばらしいのだ、とこの映画を見ていて感じられるかというと、どうもそうではない。
だらしない男のだらしない遍歴がだらだらと続くだけのように見える。 文学が立ち上がる現場そのものを映像化するのは難しい、という真理があらためて実感できてしまう映画ではないか。