うめ

千羽づるのうめのネタバレレビュー・内容・結末

千羽づる(1989年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

あまりにも悲しいこの話を
どう映画にするのかと思い見てみた。

感情を限りなく抑制した演技に
リアリティーを感じた。

余命一年と宣告されたとき、
両親が泣きわめいたり、
取り乱したりしなかったのは、
原爆症(白血病)が
当時それくらい身近だったのかもしれない。
でも、実は禎子が自分が白血病と知っていたことがわかり、母は号泣する。
余命を知ったときの気丈さはない。
途方もない悲しみに慟哭する母。
その気持ちを、見てる僕らも共有する。
そして、
その残酷さ、その健気さ、禎子のすべてが尊く、
それゆえに、なぜ彼女が若くして死ななければならなかったのか、と誰もが憤りを覚える。
この映画のすごいところはここにある。

ちなみに、
この禎子と千羽鶴の話は、ある年齢以上のロシア人なら誰でも知っているという。
ロシアは禎子の物語を反米感情に利用した。
きわめて不純な動機だが、
それでも世界中に禎子のことは
これからも伝えてほしいと思う。
うめ

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