三四郎

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇の三四郎のレビュー・感想・評価

3.0
何度もアメリカ軍の戦闘機と爆音のシーンを流すのは、沖縄の基地に対する問題意識、意図あってのことだろう。
病室で横になってるリリーに、帰り際寅さんが言う科白が深い。
「夢なんか見ねぇでぐっすり寝ろよ」

リリーが歌う「東京夜曲」
いい歌なので歌詞を調べると、作詞は私の敬愛する作詞家・佐伯孝夫。通して聴くと、特に3番の歌詞が西條八十の「東京行進曲」を連想させずにはいられないものとなっている!

「東京夜曲」
青いランプに夜は更けて
カーテン引く手のやるせなさ
泣けば泪の星空を
ああ、流れくるくるあの歌は
誰が歌うか 東京夜曲

白い毛糸の、編みかけの
あなたのジャケットに頬寄せて
移す想いの紅のあと
ああ、消えてくれるないつまでも
ひとり聴いてる 東京夜曲

二人一つの想い出の
匂い薔薇よ小田急よ
やさしいソファーに 燃える身を
あああ 投げて夢見る 夢の果て
甘い吐息か 東京夜曲

「東京行進曲」
昔恋しい 銀座の柳
仇な年増を 誰が知ろ
ジャズで踊って リキュルで更けて
明けりゃダンサーの 涙雨

恋の丸ビル あの窓あたり
泣いて文書く 人もある
ラッシュアワーに 拾った薔薇を
せめてあの娘の 思い出に

ひろい東京 恋ゆえ狭い
粋な浅草 忍び逢い
あなた地下鉄 わたしはバスよ
恋のストップ ままならぬ

シネマ見ましょか お茶のみましょか
いっそ小田急で 逃げましょか
かわる新宿 あの武蔵野の
月もデパートの 屋根に出る

佐伯孝夫は早稲田大学文学部仏文科在学中から、西條八十に師事し西條の門下生の一人だ。したがって、この「東京夜曲」は「東京行進曲」を想いながら書いたのではなかろうか。
「東京行進曲」に描かれた二人のその後が「東京夜曲」ではなかろうか。
三四郎

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