クリストフォルー

丹下左膳 百万両の壺のクリストフォルーのレビュー・感想・評価

丹下左膳 百万両の壺(2004年製作の映画)
3.8
なぜか、いろんなドラマ資料からオミットされている感じの時代劇ドラマ『赤頭巾快刀乱麻(1991/NHK)』観ていたせいで、本作の公開時には狂喜乱舞してしまった。
私のベスト左膳は、映画なら大友柳太朗、ドラマなら、小室等の「♪かげろうの唄」も忘れがたい高橋幸治主演版(1974/監修・市川崑)だが、それはさておき。
「虹の橋」から10年ぶりに時代劇に帰ってきた和久井さん。お藤の気風の良さが、作品の華に相応しい。初時代劇映画で左膳に挑んだトヨエツは、ここからさらにマルチな役柄へシフトしていく。ミフネ風に肩を回す仕種は、監督がつけたのかな。そして『赤頭巾』で主演だった野村宏伸のヘタレ源三郎が揃うと、梨本謙次郎がいないのが寂しくなる。
でも、その分、麻生久美子と十八番のおじゃま虫な豊原功補の『時効』コンビが出てくるし、初手から名子役だった武井証くんも好い。
クライマックス(?)の剣劇も意匠を凝らした見せ方で、丹下左膳の冠に恥じない。「ラストサムライ」後の福本清三をああ死なせちゃうのも面白かった。
エンディングの「♪からかさ/左膳ヴァージョン」はMyヘビロテ曲になったよ。

なにゆえ、本作に渡辺裕之さんがチョイ役で出ていたのか。東海テレビの昼ドラ『夏の嵐』に、デビュー当時の和久井映見さんが出演していた縁なのかも。
自身のデビュー作「可愛い悪魔」に起用してくれた大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館」にも、ちゃんと出ている。誠実な人柄が偲ばれる。御冥福を祈ります。
クリストフォルー

クリストフォルー